高山病対策

高山病対策

高山病対策
【高山病とは?】
 標高が高くなるにつれて気圧が下がり(山頂は平地の6割)、酸欠の状態になり、血中酸素濃度が低下することで身体にいろいろな変調をきたします。初期段階では、頭痛、吐き気、めまい、食欲不振、手足のむくみ、心悸亢進(脈拍が速くなる)など風邪や二日酔いのような症状が現れます。
 高山病になりやすいかどうかは酸素摂取能力が影響しています。酸素摂取能力が高ければ、薄い空気の中でも酸素を効率よく取り込めますから酸欠になりにくいわけです。酸素摂取能力の個人差は心肺機能の他に、血中ヘモグロビン量が要因の一つとなっています。

【対策】

対策1. 高所順応をする
 五合目に到着したら、しばらくゆっくりして身体を高所に慣らしましょう。到着してすぐに登り始めるのは禁物です。また登り始めの時は意識的にゆっくり歩いてください。「登山では最初の1時間を意識的にゆっくり登るのが登頂への秘訣」です。

対策2.酸素を十分に取り入れる
 登山用呼吸法としては、普通に吐ききってから、さらに口をとがらせてフーフーと吹くと、その分、大量に空気を吸い込むことができます。疲れて呼吸が浅くなると、なおさら酸素不足になりますから、腹式呼吸をこころがけ、大量に空気を吸い込んでください。

対策3.マイペースで登る
 グループで登る場合は、ついつい同行者のペースに合わせてしまいますが、オーバーペースなのに無理してついていくと高山病になって、かえって迷惑をかけることになりますから「悠然と我が道を行く」という感じでゆっくり登りましょう。ダイバーシティ富士登山では、全員での登頂が目的です。頑張りすぎず、周囲のペースが速いと感じるときは、すぐに言ってください。

対策4.山小屋での注意点
 山小屋で寝ると呼吸が浅くなり、それで気分が悪くなる人がいます。また、混雑した室内は酸素濃度が下がっているので、なおさら高山病の症状が出やすくなります。そうなったら、もう寝るのはあきらめて、出発まで規則的に深い呼吸をすることに専念することです。横になっていると気分が悪くなるようでしたら、上半身を起こしていた方が楽です。

対策5.水分を多めにとる
 富士山では水は高価です。また、トイレが有料なので水を控え気味にする人がいるようですが、喉の乾きを感じる前に十分に水を飲んでください。体内の水分が不足すると血液がネバネバして血管を流れにくくなります。そのため人体にいろいろな悪影響が出てきます。また暑い時は熱中症にもなりやすくなります。

対策6.身体を締め付けない
 ズボンのベルト、リュックの腹部のベルトなどは、あまりきつく締め付けない方が、腹式呼吸を妨げないので良いと思います。これが原因で気分が悪くなっている人がけっこう多いような気がします。ポテトチップスの袋を山頂に持っていくと気圧の関係でパンパンに膨れていきます。この原理で、実は身体も膨張しています。その点で、ジーンズのようなぴったりした衣類は余裕がないので富士登山には不適です。

対策6.鉄分を摂取しておく
 鉄分が不足すると血中のヘモグロビンが減少し、吸った酸素をうまく体内に取り込めなくなってしまいます。もともと貧血気味の人は、富士山に登ればそれが症状として現れやすくなります。気になる方は普段から鉄分を食べ物や栄養剤で摂取するように心がけてください。

対策7.天気が悪い日は不利
 天気が悪い日は気圧が低いので、さらに高山病になりやすいです。雨に濡れ、景色も楽しめず、そして高山病になってしまったら、まさに踏んだりけったりです。

対策7.寝不足のまま登らない、お酒を飲まないなどです。

高山病に苦しむことになった場合は、とにかく無理をせず、すみやかに下山してください。筋肉の力が弱る症状が出る場合、あるいは意識障害が発生したら、自力では下りられなくなります。また、脳浮腫、肺水腫といった重大な状態になる可能性もあります。高度3000m以上という、普段、登山家以外には体験できない場所まで容易にたどり着けるのが富士登山の楽しさであり、また危険性だといえましょう。くれぐれも無理しないでくださいね。